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イタリアを代表する航空会社「アリタリア航空」が29日、会社更生手続きを開始し事実上、経営破綻(はたん)した。会社を2分割し、路線を縮小して業務は続けるが、原油価格高騰に伴うコスト増をずさんな経営が吸収しきれなかった形だ。

■消費者置き去りの声も

 イタリアのベルルスコーニ首相はアリタリアの会社更生手続き開始を前に、記者会見で「経営はイタリア人の手にとどまる」と胸を張った。

 アリタリアは、採算部門を引き継ぐ新航空会社と、負債を引き継ぐ清算会社に分割される。新航空会社は国外航空大手との提携を模索しながら11年の黒字転換を目指す。

 表向きは民間投資による企業再生だが、実態は「官民護送船団方式」ともいえる救済策だ。伊政府は新会社のために会社更生法や独占禁止法の改正を閣議決定。新会社にファッション大手のベネトンなど国内企業16社が約15億ユーロ(2400億円)を注入するのも政府の意向を受けた動きだ。

 国際化が進む航空業界再編の流れに抵抗し、政府は徹底的に「ナショナル・フラッグ・キャリア(国を代表する航空会社)」の維持にこだわった。背景には、経済が停滞する中、有権者の「グローバリズム疲れ」をくみ取る形で現政権が4月の総選挙に圧勝し、返り咲きを果たした事情がある。

 アリタリアは航空業界の競争が激化する中、労使紛争を繰り返して99年から全く利益を出さなくなり、最近は原油高で経営が悪化する一方だった。中道左派のプロディ前政権が政府保有株49.9%の売却を決めたのは06年末。今年3月には航空大手持ち株会社エールフランスKLMが買収で合意したが、総選挙で当時野党を率いたベルルスコーニ首相は「外国企業に売り渡すな」と反対キャンペーンを展開した。

 アリタリアは今、1日の運航で100万ユーロ以上の赤字を出す状態。再建が順調に進むかは不透明だ。国内航空2位「エアワン」との合併も計画するため、1社で国内のドル箱路線をほぼ独占することになり、「消費者置き去りの再建」と批判する声もある。

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